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在宅避難が中心で、停電時に困ることがスマホの充電くらいなら、ポータブル電源がなくても対応できることが多いです。手のひらサイズのモバイルバッテリーで足りるケースが多いためです。
この記事は「ポータブル電源が不要」と決めつけるものではありません。医療機器がある家庭や、冷蔵庫など複数の家電を動かしたい家庭では話が変わります。まず自分の家庭がどちらに近いか、次の章から確認してください。
この記事の結論
- 不要なことが多い家庭: 在宅避難が中心/困りごとがスマホ充電程度/モバイルバッテリーで代替できる
- 検討する価値がある家庭: 医療機器がある(要相談)/冷蔵庫など複数家電を動かしたい/停電が長引きやすい地域
- 必要な場合の容量目安は、Wh(ワットアワー)という単位で計算できます
防災リュックの中身リスト|最低限の6つと、入れなくていい5つでも触れたとおり、大型のポータブル電源は持ち出し袋には向きません。ここでは「在宅避難の備えとして持つかどうか」の判断基準だけを整理します。
まず確認したい「不要かもしれない」家庭の条件
次の3つに当てはまる家庭は、ポータブル電源がなくても大きく困らないことが多いです。
- 避難所ではなく、自宅にとどまる在宅避難を想定している
- 停電中に困ることを具体的に考えると、スマホの充電と灯り程度である
- 家に車があり、車載充電(あとで説明します)も選べる
反対に、次のどれかに当てはまる場合は、この記事の「不要」寄りの結論をそのまま当てはめないでください。
- 在宅酸素療法など、生命に関わる医療機器を自宅で使っている
- 停電中も冷蔵庫や医療・介護関連の機器を動かし続けたい
- 過去に停電が数日単位で長引いた経験がある地域に住んでいる
医療機器がある家庭については、当サイトで必要・不要を判断することはできません。主治医または機器メーカーに直接確認してください。詳しくは後半でもう一度触れます。
【保存版】必要な場合の容量の考え方(Wh計算)
検討する価値がある家庭向けに、容量の考え方を整理します。細かく計算しなくて大丈夫です。目安の表と照らし合わせるだけで十分です。
ポータブル電源の容量は「Wh(ワットアワー)」という単位で表され、使用時間は次の式で計算できます(Ankerジャパン公式)。
使用時間(h)=容量(Wh)÷家電の消費電力(W)
ただし実際に使える容量は、変換ロスにより表記のおよそ80%が目安です。Ankerジャパン公式は、用途別の容量目安を次のように示しています。
| 想定する場面 | 目安容量 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 日帰りの外出時 | 200Wh前後〜 | スマホ・タブレット・LED灯 |
| 泊まりを伴う利用 | 500Wh前後〜 | 扇風機・電気毛布など |
| 在宅避難・停電時 | 700Wh前後〜 | 冷蔵庫など2〜3日分 |
| 電動工具での利用 | 1,000Wh以上 | 消費電力の大きい機器 |
※メーカー1社が示す目安のため、実際の必要量は家電の組み合わせで変わります。
この表は、実際に購入を検討する段階になったときに見返すと役立ちます。スクリーンショットしておくと、店頭やサイトで容量を確認するときにすぐ使えます。
当サイトの計算例です。スマホのバッテリーはおおむね3,000mAh×3.7Vで、電力量に換算すると約11Whです。充電時のロスを考えると、1回のフル充電に必要な電力量はおよそ14〜15Wh程度になります。
日常の言葉に翻訳すると、300Wh前後のポータブル電源(実効容量約240Wh)なら、スマホ15〜17回分のフル充電に相当します。1週間ほぼ毎日フル充電しても余裕がある量です。
迷ったときの結論: 多くの家庭では、まずモバイルバッテリー1つで様子を見るのが出発点になります(理由: 停電の困りごとの多くはスマホでの連絡・情報収集だからです)。冷蔵庫など、スマホ以外の家電も動かしたい家庭は、上の表のWh目安を参考に検討を進める価値があります。
在宅避難で複数の家電を動かしたい場合は、700Wh前後からが候補になります(理由: 冷蔵庫などを2〜3日動かす目安になるためです)。
「不要な場合」の代替手段を整理する
スマホの充電と灯りの確保が中心なら、次の3つの手段で組み立てる方法もあります。
| 手段 | 得意なこと | 限界 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | スマホ・小型機器の充電 | 家電までは動かせない |
| 乾電池(ラジオ・灯り) | 停電中の照明・情報収集 | 充電はできない |
| 車載充電(車がある場合) | やや大きめの家電にも対応 | 燃料・換気に注意が必要 |
モバイルバッテリーは、容量10,000mAh程度のものでスマホをおよそ2〜3回フル充電できる計算です(充電時のロスを70%程度として計算)。スマホの充電だけを確保したい場合は候補になります(理由: 軽量で持ち運びやすく、日常づかいもできるためです)。
乾電池は、懐中電灯やラジオと組み合わせれば停電中の照明・情報収集を長く支えられます。ローリングストックの考え方は乾電池にも応用できます(→ローリングストックのやり方5ステップ|続かない人の失敗例つき)。
車載充電は、車のシガーソケットやインバーターを使う方法です。ガソリン残量に注意しつつ、やや大きめの家電にも対応できる場合があります。ただし、マフラーが雪などでふさがれた状態でエンジンをかけ続けると、一酸化炭素中毒の事故が報告されています(紋別市「車中泊での一酸化炭素中毒にご注意ください」)。使うときは定期的な換気を心がけてください。
医療機器がある家庭と、安全に使うための確認事項
在宅酸素療法など、生命に関わる医療機器を使っている家庭は、この記事の判断基準をそのまま当てはめないでください。
医療機器メーカー自身が、精密な医療機器への非医療用ポータブル電源の使用を推奨していないケースがあります(Jackery公式「在宅酸素療法の停電対策ガイド」)。対応できる波形が機器によって異なる点も、専門知識が必要な部分です。
必要かどうか、どの機種が適合するかは、当サイトでは判断できません。主治医または機器メーカーに直接確認してください。
なお、ポータブル電源・モバイルバッテリーはいずれもリチウムイオン電池を使っています。製品評価技術基盤機構(NITE)は、対象製品のリコール情報を確認するよう呼びかけています(NITE「ポータブル電源 リコール製品に注意」)。購入前・購入後にお手持ちの製品がリコール対象でないか確認しておくと安心です(経済産業省)。
まとめ:その1台、いまの暮らしに必要ですか?
容量やWh計算より前に決めることは1つだけです。今日は「停電で本当に困ることは何か」を1つ書き出してみてください。それだけでも前進です。書き出した困りごとがスマホの充電だけなら、まずはモバイルバッテリーで十分です。困りごとがスマホ以外にも2つ以上あるなら、次の検討で上のWh目安を確認してみてください。まだ決められなくても、今は保留でかまいません。
よくある質問
Q. ポータブル電源とモバイルバッテリーは何が違いますか?
A. 出力できる容量(Wh)と対応できる家電の範囲が違います。モバイルバッテリーはUSB機器の充電が中心で、ポータブル電源はコンセント(AC)出力に対応し、家電製品も動かせる場合があります。
Q. 容量は大きいほど安心ですか?
A. 容量が大きいほど、停電中に頼れる場面は広がりますが、その分重くなり、収納スペースも必要です。まず何を動かしたいかを決めてから、上の表のWh目安と照らし合わせるほうが選びやすくなります。
Q. 停電に備えるなら、他に優先すべきものはありますか?
A. 携帯トイレ・水・簡易的な調理手段は、電源より先に確認したい項目です。優先度の整理は防災リュックの中身リスト|最低限の6つと、入れなくていい5つにまとめています。水の必要量は水の備蓄は1人何リットル?飲料水と生活用水の必要量・本数早見表で計算できます。
出典: Ankerジャパン公式「ポータブル電源の容量の目安とシーン別のおすすめ製品」/Jackery公式「在宅酸素療法の停電対策ガイド」/製品評価技術基盤機構(NITE)「ポータブル電源 リコール製品に注意」/経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に気をつけましょう」/紋別市「車中泊での一酸化炭素中毒にご注意ください」
